『ミッシング・ピ−シズ―アメリカ障害学の原点』

著者:アーヴィング・ゾラ Irving Zola(ニキ・リンコ訳)

[ISBN]978-4-86500-117-4 C0036, 発売日:2020年10月24日, 判型:46判並製, 416頁

生活書院 税別 2500円


解説 アメリカ障害学の原点(杉野昭博)


読者からのおたより

※読み出したらとまらなくなって、週末にかけてミッシング・ピーシズを今、読み終えました。この頃の読むときの癖で、今回はポストイットを40枚以上は貼り付けました。そうしていると、気になった中身をもっと覚えておけるような気がして、実際は私の頭では無理なことと知りつつです。「ゾラを語るうちに、ついつい自分のことを語りだしてしまう」と先生が閉じられたように、障害のある人たちがもっと語り始めたのだと思いました。自分はどうかといえば、語ることもできないくらいカオス(向き合っていない)だなと、本を閉じて、内容への感嘆とともに、ちょっとわらってしました。

 

先日送って頂いた『ミッシング・ピーシズ』を早速読ませていただいたので、ご連絡いたしました。
著者の体験をもとにした考察がとても興味深く、引き込まれるように読み進めることができました。1970年代の滞在記で、出版が1980年代とのことでしたが、この本におけるゾラの主張は少しも色あせることなく、4,50年近く経つ現在の日本社会においても問われ続けているものだと思いました。障害を持つ人の処遇自体が欧米諸国より大きく遅れていたとはいえ、いかにこの社会が「健常者」中心に、少数者を排除する形で造られてきた社会であるのかということを強く感じさせられました。
障害を持つ人の権利や「主体性」「自立」等は、在学中はもちろんですが、特別支援学校で日々身体にも知的にも障害を持つ子どもたちと接したりする最近もよく考えている問題です。先生が解説で描かれていたように、読みながら、自分自身の経験などと重ねて考えてしまうことも少なからずありました。

 

さて、本日『ミッシング・ピーシズ』拝受いたしました。
私の中で「ミッシング・ピーシズ」といったら、絵本の『僕を探しに』なのですが、それとは異なる新しい「ミッシング・ピーシズ」が加わることになりました。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000125990
もしかしたら、この本も『僕を探しに』というか「自分を取り戻す」ような本なのかもしれないという期待、可能性を感じます。
ずっと、ゾラは、杉野さんにとってとても大事な存在なのだろうなと感じてきました。
その理由はよくわからないできました。
でも、解説で少し感じられた気もします。
勝手な解釈ですが、誰もがなのだろうと思うのですが、ゾラの生きざまに触れることで、読者みずからの人生、生き様とも触れる何かがあるからなのだという気もします。
なんというか、相互関係、出会い、を感じるような
文化、交流、のような
相互作用性を感じさせるように思います。
それがアメリカ障害学なのかな。