+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

Kansai Social Policy Studies Network

OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO

  関西 SPSN Newsletter No.13(2008/7/11)

OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO

発行:SPSN (Social Policy Studies Network)関西事務局

 EMAIL:shizu@mvj.biglobe.ne.jp(事務局機関紙担当)

URL: http://www.eonet.ne.jp/~aksugino/spsn/ 

SPSN関西 運営委員:杉野昭博、河野真、鎮目真人、所道彦、亀山俊朗

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

住所・アドレス変更の場合は、事務局まで

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

◆転居、所属変更等により、連絡先、電子メールアドレスなどを変更された方は、事務局までご一報ください。Newsletterの送付の中止を希望される方も同様です。

 

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 第 8 回研究会のご案内∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

日時 2008913日(土) 14001730

場所 関西学院大学大阪梅田キャンパス(茶屋町アプローズタワー)1002教室(10階)アクセスは次のURLを参照して下さい(http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/access/ )

 

報告テーマ:障害者権利条約の意義と日本の課題

報告者:川島聡(東京大学大学院経済学研究科特任研究員)

 

討論者1:楠敏雄(障害者自立生活協会)

討論者2:堤修三(大阪大学)

 

報告要旨:障害者権利条約の全体像を概観した後、将来日本が条約を締結場合に生ずる主要論点(合理的配慮を含む差別禁止、国内人権機関、政府仮訳の問題点など)を取り上げる。その際、長瀬修・東俊裕・川島聡編著『障害者の権利条約と日本──概要と展望』(生活書院、近刊)において各執筆者によって提起された問題意識を適宜紹介し、それに関連する自説も展開する。

 

◆参加費は500円です。次回研究会などの最新情報は,SPSN関西のホームページ(http://www.eonet.ne.jp/~aksugino/spsn/ )をご覧ください。

 

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  第 7 回研究会の報告∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 

◆第7回研究会(ベーシックインカム日本ネットワーク準備研究会と共催)が、2008216日(土)午後、同志社大学にて開催されました。

 

●報告

 

報告1:「アメリカにおけるワークフェアの歴史」小林勇人(立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程)

 

報告2:「福祉権運動・ベーシックインカム・ジェンダー」山森亮(同志社大学経済学部)

 

●報告概要

 

報告1:アメリカにおけるワークフェアの歴史(小林勇人)

 

本報告は、第一に、ワークフェアの起源に遡って南部公民権運動の指導者であるチャールズ・エヴァーズの戦略を考察し、第二に、ニクソン大統領の福祉改革案(Family Assistance Plan: FAP)の審議過程と帰結を分析し、第三に、エヴァーズの構想とFAPを比較することで、アメリカにおけるワークフェアの歴史を論じた。1960年代のアメリカでは公民権運動を主要因として人種問題と結びつくかたちで貧困が「再発見」され、連邦政府は福祉制度(AFDC)で対応することになった。新しい公民権法の成立前後に公民権運動は分派し、一部は福祉権運動へ転換していったが、エヴァーズは議会政治へ転換するなかで1968年にワークフェアを考案したのだった。彼には、雇用の創出によって就労の機会を保障することで、白人による経済的報復に対抗しながら黒人の有権者登録・投票運動を展開するという戦略があった。 他方1960年代後半からの「福祉爆発」により州・地方政府の福祉費用が急増するなかで、ワーキング・プアの家族において父親の遺棄によって母子が福祉を受給することや世帯主が働くことをやめて福祉を受給することなどが問題視されていた。ニクソンが提案したFAPは、ワーキング・プアをも含めて貧困層に現金扶助を行うものであったため保証所得とみなされ全米に大論争を引き起こした。4年に及ぶ審議と否決を経て、FAPは雇用可能な者に対する現金扶助のあり方についての議論を喚起し、雇用可能な福祉受給者に対する就労義務を強化することになった。その結果1970年代にワークフェアは、雇用可能な受給者は現金扶助を受け取るかわりに働くべきである(必要ならば仕事を作り出してでも仕事をするべきである)ということを意味するようになった。 エヴァーズの構想が人種問題に取り組むものであったのに対して、FAPは貧困・失業問題を個人の就労努力によって解決しようとしていたのであり、両者は人種問題への対応の仕方で大きく異なる。しかし、両者は「就労を通した自立」を志向する点では共通しており、1960年代の民主党政権におけるリベラルな政策に連なるといえる。ワークフェアの歴史を振り返ることで引き出せる教訓として以下の二点が挙げられよう。第一に、アメリカの福祉制度の展開には人種問題が深く関与していたように、各国・各地域には固有の福祉制度の変遷過程があるのだから、「ワークフェア」を脱文脈化してあたかも普遍的に制度適合的な政策として移転することのないよう留意が必要である。第二に、「就労を通した自立」という構想は貧困・失業問題に対して有効な解決策たり得ず、所得保障の構想もリベラルな政策に連なる限りワークフェア的なアイディアや議論を喚起する傾向があり、構想が制度利用者にもたらす政策的帰結に敏感であることが求められる。

 

◆参加者は以下の25名でした(順不同)

 

橘木俊詔(同志社大学経済学部)、亀山俊朗(お茶の水女子大学)、江本純子(佛教大学研究員)、小松満貴子(武庫川女子大)、太田美帆(大阪大学大学院)、大岡頼光(中京大学)、杉本宏史(同志社大学大学院)、村上慎司(立命館大学大学院先端研)、中田喜一(佛教大学大学院)、小林勇人(立命館大学大学院先端研)、福村幸子(soui)、高桜善信、山森亮(同志社大学経済学部)、鎮目真人(同志社女子大)、大村和正(神戸大学大学院)、浜上知子(法律文化社)、大野節夫(同志社大学経済学部)、戸田典樹(大津市役所)、音田潔(ミネルヴァ書房)、田中聡子(南丹市社会福祉協議会)、松岡隆浩(人文書院)、福原宏幸(大阪市立大学経済学部)、涌井格(ミネルヴァ書房)、篠原雅武(日本学術振興会研究員)、室田信一(同志社大学大学院)

 

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

Kansai Social Policy Studies Network

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

  SPSN関西事務局

  EMAIL  shizu@mvj.biglobe.ne.jp(事務局機関紙担当)

  URL   http://www.eonet.ne.jp/~aksugino/spsn/ 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□